郷土再発見シリーズ

小雀観音

小雀観音堂

桐生市菱町2丁目の郵便局のとなりに小さなお堂があるのをご存知ですか?
ここには歴史の逸話にまつわる一頭の馬が祀ってあります。
その馬の名前は小雀(こすずめ)と言います。
時は戦国時代、菱の領主細川内膳がその技量を認められ、 小笠原流馬術の達人である八条房繁から授かった名馬です。
彼はこの馬を大切な家宝としていました。

ところがこの馬を譲ってほしいと言う人物が現れます。
戦国時代桐生氏の全盛時代を築いたと言われる、桐生大炊介助綱です。
細川氏は「他の品ならばともかく、小雀だけは・・」と断りますが、これにより恥をかかされたとして桐生氏は細川氏を攻め、滅ぼしてしまいます。
馬をよこせと言って断ったから攻め滅ぼすとは、名君と謳われた桐生助綱にしてはいささか理不尽に思えます。
実は桐生助綱から4代前の桐生豊綱は佐野家からの養子ですが、桐生氏へ養子入りする際に菱地区を引き出物として付けられたそうです。
つまり戦国の世の習いに従って旧領の奪還をうかがっていた桐生氏にとって、小雀の件は侵攻の口実であったものと思われます。

細川氏を滅ぼした桐生助綱は早速馬を手に入れ、連れて帰ろうとしますが、この時馬が暴れ、自ら舌を噛んで死んでしまったということです。
後日、この小雀の最後を耳にした村人は「馬でありながら、二君に仕えずとは立派な最期」と憐み、祀ったのが今の小雀観音であるとされています。